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2020.07.20 心のこと・心理学

やる気を出させる?それともマイナス??エンハシング効果とは

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エンハシング効果

ずっと雨が続いていた中、ここ数日ですが夏空が戻り洗濯物がベランダに干せる幸せにホクホクしています。
またお天気は崩れてしまうみたいで、今年は梅雨明けが遅くなりそうですね。

突然ですがみなさんは、何か仕事を達成した時に上司から褒めてもらえると嬉しい気持ちになりませんか?
わぁ、嬉しいな、もっと頑張ろう!!
そんな風に思う動機付けになるのが、今日お話しをさせてもらう「エンハシング効果」(Enhancing effect)です。

 

●エンハシング効果とは

 

エンハシング効果とは、賞賛の言葉を相手にかける事で「やる気」を高める心理現象。
他人から褒められることや期待をかけてもらうことで、自発的なやる気が高まる効果の事を言います。

 

心理学的な言い方をすると『外発的な動機付け』によって『内発的な動機付け』を高める事なのですが、ザックリいうと「やる気・モチベーションをアップさせる!」という事です。(← あまりにザックリですみません)

 

エンハシング効果

 

▼内発的動機付け
見返りを必要とせず、単純に「たのしいからやりたい」「面白いからやる」という喜びが原動力となっているもの。
・やりがいのある仕事だから一生懸命にやれる
・友達に会えるのが楽しいから学校へ行く
・大好きな部活だから朝練を積極的に行う など

▼外発的動機付け
報酬を得るため、罰を受けたり叱られたりしたくないと「望ましくない結果になることを避ける」ために行動する、どちらかというと消極的な動機づけ。
・給料を得るためにしぶしぶ会社に行く
・親に叱られたくないから学校へ行く
・内申点を良くするために部活に参加する など

 

エンハシング効果とは、外発的動機付けが内発的動機付けが『高まる』『強化される』(英語のエンハシングの意味)ということなので、本当に超・ザックリ例えるならば、頼まれた仕事を乗り気じゃなくやっていたものが「褒められたり給与が上がる」形で評価されたことがきっかけとなり、もっと成長しよう!もっと結果を出そうとワクワクして楽しくなるようなイメージで考えてもらえると分かりやすいのではないでしょうか??

 

●エンハシング効果の実験について

 

エンハシング効果の実験例として挙げるのは、アメリカの発達心理学者ハーロック,E.B.が1925年に小学生を被験者として行った「賞罰実験」です。

【実験方法】
9~11歳までの子供たちをA・B・Cの3つのグループ分けをして算数のテストを5日間実施。
結果に関わらず、先生が各グループの生徒に以下の対応を行う。

・Aグループ:試験の度に褒められる
・Bグループ:試験の度に叱られる
・Cグループ:何も言われず放任される

 

実験の結果は次のようになりました。
・褒めらえ続けたAグループの子供たちは少しずつやる気が向上しはじめ、日を追うごとに成績が上がり、最終的には71%も点数が上がる結果になりました。
・叱られ続けたBグループは、2日目は叱られないように努力が見られてほんの少し成績上昇があったものの、その後は点数が下がっていきました。
・放任されたCグループは5日間を通して成績に変化はありませんでした。

 

ハーロックはこの実験を通して、褒める事が学習効果を促進する = 叱られるより褒められる方がやる気を出す、ということを証明しました。
エンハシング効果を発生させる外的動機には「報酬を得る(褒められる)」「望ましくない結果を避ける(叱られたくない)」というものがありますが、上の実験結果から分かることとして外的動機として『褒める』『商品など評価を用意する』ほうが、叱ったり罰を与えるよりもやる気がわくという事。

 

褒める・報酬を与える = 喜ばしい成果を得られるように成長する

 

●エンハシング効果が出やすいのは??

 

エンハシング効果(褒められることで自発的なやる気を伸ばす)が最も効果的に働くのは【褒められたい人から褒めてもらった時】です。

子供であれば親や先生といった目上の存在。
憧れの先輩や上司、自分より成績の良い同僚や一目置かれている存在の人から褒められることで「私もできるんだ!」と自己肯定感が高まり、「もっとできるようになりたい」「よりよくなりたい」と成長意欲に火が付きます。

 

褒めてくれる存在というのがエンハシング効果ではとても重要です。

仕事について褒められるというシチュエーションを想像していただいた際、信頼している上司から「よくやってくれた!ありがとう!君のおかげだよ」と褒めてもらえると嬉しい気持ちで満たされて、次も良い仕事をして喜んでもらおう!と思えます。
対して、自分に無理にその仕事を押し付けた上司から「よくやったな!」と言われてもイラッとするだけですし、通りすがりの人が突然「よくやってますね!」と言われてもキョトンとするだけでモチベーションアップには結び付きません。

 

●褒める方法について

 

エンハシング効果は【行動や努力を褒めた時】に発生しやすいものです。


子供に対してであれば先生や親から褒められることで学習意欲が高まります。
・テスト勉強を頑張っていて偉いね!
・宿題ここまでやり溶けてすごいね!
・今日は3ページも進んだんだね。すごい!!

 

仕事面であれば部下の生産性がUPします。
・資料作り頑張ってくれているね。
・君が作ってくれる企画書はいつも評判がよくて助かっているよ。
・営業成績達成のために努力してくれたんだね。

 

どちらにも共通しているのは「やったこと」「頑張っている姿」を褒めているという点です。

 

また、人間は「慣れる」という特性があるため、エンハシング効果を高めるための褒め方をするのであれば【不定期に褒める】というのもポイントになります。
日々褒められていると「褒められる効果」が薄くなることに加えて「たいしたことないのに大げさに褒めるって、社交辞令かな?」と褒めてもらったことを喜べなかったりします。(勿論、叱られるより褒められる方が伸び伸びできますが…)

 

●望ましくない褒め方

 

エンハシング効果を発生させるための褒め方として「行動」を褒めることが大事だと書きましたが、NGな褒め方もありますのでご紹介します。
NGな褒め方とは【能力や結果を褒める】やり方です。

外見や生まれ持った能力の面を褒められると、その時は誇らしい気持ちを感じられますがそれだけで終わってしまいます。
また、「いつも完璧に仕事をこなせる君が誇らしいよ!」「いつも営業成績を達成する能力が素晴らしいね」といったように、個人が持つ能力や出した結果を褒められることで、自分の能力がなくなったら大変だ!と委縮して力を出せなくなったり、過度に失敗を恐れたり、完璧にやろうとして力が入り過ぎて疲弊したりと、挑戦する意欲がなくなることがあります。
努力や過程といった成長を褒められると、モチベーションが上がるのに対し、能力や結果を褒めることで「失敗してはいけない」と失敗への恐れが生まれるため、能力や結果だけを褒めるのはNGな褒め方です。
 
 
例として、大きな金額の商談をまとめてきた部下を褒める言葉として、どちらがエンハシング効果を産むか…ですが
 
▼NG例
あの金額の商談をまとめてくるなんてすごい。今月〇〇万円も利益をだしてくれたね。本当に仕事ができるね!
 
 
▼効果的な例
おめでとう!君が商談をまとめるために毎日資料作りやアポ取りしていたのを見ていたよ。君の努力と頑張りが結果につながったんだね。今月も○○万円も利益を出して会社に貢献してくれてありがとう。
 
 
やはり後者の褒め方の方が、この先も頑張りたい!と思わせる褒め方ですよね。
今回は成功例を褒めるやり方でしたが、頑張っていたにうまくいかなかった・失敗した場合でも「結果は残念だったけれど、この仕事を勝ち取ろうと君が資料をまとめてくれたり段取りを丁寧にしてくれて、本当に頑張ってくれたね。この努力は絶対に次につながるよ。」と努力や過程を褒めてあげることで、落ち込んでいる状態からもモチベーションを持つことが出来ます。
 
 

●アンダーマイニング効果

 
 
エンハシング効果とは逆で「自発的に頑張っていた事が、外発的動機(報酬・評価)によってやる気を失う事」をアンダーマイニング効果といいます。
 
心理学教授であるエドワード・L・デシがパズルが好き(楽しいという内発的動機がある状態)な学生に対し、うまくできたら金銭(報酬・外発的動機付け)を与えるといったところ、好きで楽しめていたパズルに対するモチベーションが下がったという実験結果があります。
同じように、絵を描くことが好きな園児たちに「上手に描けたらご褒美をあげるよ!」と報酬を予告し、絵を描いてくれた子供たちに実際にご褒美を上げたところ、その後にご褒美がない状態になると以前は喜んで描いていた絵を自発的に書くことが少なくなったそうです。
 
趣味でイラストを描いていた人が、それを仕事にして報酬を得るようになるとお金にならないイラストを描く気になれなくなったりするのも「アンダーマイニング効果」によるものです。
自発的にやれていたことに他者が絡むことで、行動を制限されたような気持ちが芽生えやる気がそがれてしまうんです。
 
 
▼アンダーマイニング効果
自発的なやる気があった人のモチベーションが下がる
 
▼エンハンシング効果
自発的なやる気がなかった人のやる気が上がる
 
 
ザックリまとめると、やる気がない人に対しては「ご褒美や報酬」が与えられることでやる気が高まり、やる気があって楽しんでいる人に報酬やご褒美を与えると、逆にやる気が下がってしまうということ。
人間の心理って、本当に面白いですよね!!
 
 
部下のやる気を伸ばしたい、もっと成長できるように応援したいというようなときには、エンハシング効果のある褒め方をしてあげる事が大事です。
 
まとめになりますが
・不定期に褒める
・能力や結果ではなく、過程や努力を褒める
・相手の状況に合わせて、上司や先生や親がほめて伸ばす
 
あれこれ考えると難しくなってしまいますので、褒めて伸ばすときには「結果」だけではなく「結果につながる過程」を褒める言葉を選ぶ事を意識する!と思ってもらうと分かりやすいと思います。
失敗して落ち込んでいる部下に対しても「頑張ってきたこと」を褒めることで、また頑張ろうと思えたりしますし、上手に褒め・評価して、部下がイキイキと自発的に働ける職場づくりができたらいいですね。
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